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第8章 名物「鍛冶屋町ひとくち餃子」の誕生。 [四角餃子開発物語]

ひとくち餃子の話は、実にひとくちでは語れない。
この餃子の誕生は、四角家餃子本舗の歴史上、大きな転機となるのである。

5種類の餃子を作ったタニシは満足していた。
どこにもない、唯一無二の5種のオリジナル餃子。
これ以上餃子を増やすつもりはなかった。お客様や知り合いなど、
もう餃子を増やさないのかとすすめられたこともあったが、流行りものや軽い気持ちで
数だけ増やすようなことは考えられなかった。これで武器は揃ったと
創業当時の思いを現実に、より通販シフトに舵を切る。

ホームページの更新やリニューアルも業者を通していてはスピードも思いも
伝わりにくい。おまけに無駄に費用もかかる。自分たちで管理できなければと一念発起し、
キマコさんが休みの日にwebの学校に一年通いホームページの制作が自分たちで
できるようになった。同時に、勉強のためAmazon楽天などにも参加する。
ホームページも自分たちでリニューアルし、露出が増えたことで注文も増えた。
オンラインショップの対応や仕掛けに夢中になっているうち、気がつくと実店舗の売上が
落ちて来た。何の対策もできず、ただおいしいものをおいしく提供するだけだった。

そんな時である。サントリー認定「超達人店」になったのは。
「超達人店」はサントリーの樽生ビール「ザ・プレミアム・モルツ」を高品質の管理のもと、
最高の状態で提供できる店の称号である。これまで地味にこだわってきたことが
意外な形で認められたのだ。もともとオンラインショップのために開いた店。
当時は少ないメニュー、最低限のドリンクを高品質で提供すると言うこと以外、イートイン
としての店を拡大しようという気はなかった。
けれども、小さな小さな努力を見ていてくれた人がいるということは正直うれしかった。
ほめられるともっと努力しようと思うものだ。このことが、「四角家」のあり方を
変えた。お客様に楽しく飲んでもらおう。そしてもっと餃子を食べてもらおう。でもって
また飲んで、餃子もさらにつまんでもらおう。特にドリンクへの意識は180度変わった。
当時、支店長をされていたS氏との出会いも大きかった。
超達人店になった「四角家」をいつも激励してくれた。イートインとしての「四角家」を
もっとたくさんの人に愛されるよう今一度努力してみることにした。
新しい看板をつけ、テーブルを作り直して席数も増やした。今までになかった
ハイボールを取り入れるなどドリンクも増やした。
すると、お客様もだんだんと戻ってきた。飲んで楽しんでいただけるお客様が増えた。

あれは忘れもしない、珍しく瓦町の某洋食屋さんまでランチに出かけた日のことである。
タニシ 「そろそろ新しい餃子を作ろうかと思うんやけど」
キマコ 「あれ? もう打ち止めじゃなかったんですか?」
タニシ 「そうだったんやけどの。ふと、アルコールに合う餃子があってもえんかなと」
キマコ 「あ。それ、私も思ってました。ビールやハイボールがすすむような、
     小ぶりでついつい箸が伸びるような・・・」
タニシ 「真剣に考えてくれんかの」
キマコ 「はあ」
思いはあっても新餃子のイメージがすぐにピンと来ない二人だった。

ランチから帰ってすぐ通販のメールをチェックする。
キマコ 「あ。S支店長からメールが来てますよ。何でしょ。読みますよ。えっと、
     『白州(ウイスキー)ハイボールに合う餃子を作っていただけませんか?』 ・・・えっ?」
タニシ 「・・・・・・。おい、どっか盗聴器ついてないか?」
キマコ 「えっと、えっと。なさそうですけど。ウソでしょ? 私たちの会話聞いてた?」

この頃、サントリーは白州森香るハイボールのプロモーションをしていた。
当時のS支店長は、四国でも白州森香るハイボールが普及するよう料飲店に
働きかけていたのだと思うが、恐ろしいくらいのタイミングである。

タニシ 「これは作るしかないやろ?」
キマコ 「俄然やる気がでてきました」
新餃子のテーマは決まった。「白州森香るハイボールに合う餃子」

「四角家」の5種の餃子はそもそも通販で全国に出せる専門店の餃子。
それぞれ唯一無二の味に上品に仕上げてある。
けれど、居酒屋の餃子は違う。飲みがすすむよう香辛料をどぎつくしたり
焼き上げも油っぽく仕上げる。その方がビールがすすむからだ。
アルコールに合うと言ってもそこは「四角家」の餃子。
ハイボールと言っても上質なシングルモルトウイスキー白州のハイボール。
スパイシーながらも上品に仕上げることが求められる。
「四角家」にとっても「白州」というウイスキーははじめて置いた特別なウイスキー。
ハイボールは「白州」だけという時期もあった。
まずは「白州」を研究する。森林のようなさわやかな香り。
ちょっとスモーキー。甘みもある。これにどんな香辛料を合わそうか。
ホワイトペパーでは当たり前すぎる。柚子胡椒は? わさびとか?
タニシは今回の餃子を「四角家」の新しい名物にしたかった。支店長のありがたい
提案には早く応えたかったが、焦らずじっくりと時間をかけた。
名物にするのであれば、どうせなら地元の食材を入れたい。
地元産の香辛料・・・。そこで思いついたのは「香川本鷹唐辛子」だ。
香川本鷹唐辛子は、豊臣秀吉が朝鮮出兵の際、戦利品として持ち帰り、
そこで活躍した村上水軍に与えたことにより本島など瀬戸内の島で栽培が始まったという
もので、香川の特産物として最古の農産物となる。その甘くさわやかな香りと濃厚な
風味は日本の唐辛子の中でも最高級と言われ、海外に輸出していたほどであった。
ところが、安価な中国産の唐辛子が出回りだすとともに手間もかかる本鷹唐辛子の
栽培は激減した。最近になってそれを復活させようという動きがあった。
早速、本鷹唐辛子を手に入れ、試作の餃子に入れてみる。なかなかいいんでないの?
たかちゃんを高松に呼んで打ち合わせ。たかちゃんにも白州森香るハイボールを
飲んでもらう。
皮は薄くて、一口で食べられるもの。珍包のような甘みがなく、ジューシーで
パクパクつまめるもの。こちらの希望やイメージ聞いて、たかちゃんは頭のなかで
もう味を描いていたようだった。

四角餃子で使っている皮はほんとにおいしいのだけど、今回はとことん薄い皮に
こだわりたかった。手作業に近い工場で作る皮には限界があったので
薄い皮を求めてたかちゃんにいろいろあたってもらった。
ひとくち餃子の皮だけ名古屋の皮屋さんにお願いした。この皮は非常に薄くて
焼くとパリッとした。一口にこだわりたかったので今回は四角い包み方を諦めた。
これも何種類も包んで、一番口当たりのいい包み方を考えた。
たかちゃんの絶妙なバランスで作られたあんは、まさにイメージ通りだった。
豚肉に牛脂を加えることで肉のインパクトがアップ。ブラックペパーを入れることで
他店の一口餃子とは違う感じを出した。そしてキャベツと本鷹一味。
ジューシーで、小さいのにインパクトがあって、本鷹の風味が広がるひとくち餃子が
完成しようとしていた。微調整をして何度も何度も試食を重ねた。

タニシ、名前は密かに決めていた。
「鍛冶屋町ひとくち餃子」
店のある鍛冶屋町という町名も気に入っていたし、皆に愛されるご当地餃子にしたかった。
そして、この餃子と白州森香るハイボールをセットメニューにした
「鍛冶屋町小粋セット」を作った。

小粋セット250.jpgひとくち餃子250.jpg

鍛冶屋町ひとくち餃子は大ヒットする。
雑誌やフリーペーパーで取り上げていただいたのもあるが、何よりこの味は病みつきになった。
種類によって好みが分かれる四角餃子と違い、誰にでも好かれた。
白州も良く出たし、ひとくち餃子もよくおかわりされた。
ただひとつ予想外だったのは、ひとくち餃子がヒットしたことで四角餃子にも火がついたこと。
発売まではこれで圧倒的にひとくち餃子が出るようになるのではないかと思っていたのだが、
これをきっかけに四角餃子も今まで以上に出るようになった。

鍛冶屋町ひとくち餃子はそれまでの四角餃子とはまったく違うコンセプトで作られた。
与えられた課題に応えるドキドキと緊張感は終わってみれば楽しかったし、
充実したものだった。開発の視点が広がったことも大きかった。
正直、S支店長の提案がなかったらここまでのものはできてなかったと思う。
足を向けては寝られない。本当にもう感謝しかない。

ちなみに、発売当時、栽培している人が少なく、安定入手しにくかった本鷹唐辛子。
三木町で農家をしているDEKU農園のDEKUさんに相談したところ、「四角家」のために
栽培してくれることになった。DEKUさんは野菜にとても愛情をかけて育てる方。
実際、作られた野菜はどれも甘くて本当においしい。ご多分にもれず、彼の育てた本鷹唐辛子
と言ったら! 香りはまるでバニラのようで、辛みと風味の豊かなこと!
この本鷹唐辛子を使えることも「四角家」にとては大きな財産。
「鍛冶屋町ひとくち餃子」の価値をさらに高めてくれた。
ほんたか赤見本72.jpg
「四角家餃子本舗」は「鍛冶屋町ひとくち餃子」の発売を機に、新たなステージに上る。
この時はまだ誰も感じてはいなかったけれど。

次回、高級餃子「金包(きんぱお)」の誕生。


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コメント 2

サントリー実藤

あの当時、ライオン通りは角ハイボールでブランディンクしてたので、丸亀町商店街や鍛冶屋町は白州ハイボールの方が街の雰囲気にもピッタリだし何かブランディンク活動ができないかと思案してました!それで思い出したのが、キマコさんに聞いた四角屋餃子本舗で白州ハイボール売行き好調情報!だったら白州ハイボールに合う餃子とセットで売れば面白そう!って事で餃子開発をマスターにお願いしました!まさかお二人も同じ思いだったとはいざ知らず…!鍛冶屋町一口餃子の試作品を食べさせて頂いた日が懐かしいです。今回ブログを読んで、私の提案が四角屋餃子本舗の新たな飛躍に少しでも貢献できたと知って本当に嬉しいです!
by サントリー実藤 (2017-03-15 16:04) 

白メダカジュリー

本当にあの頃が懐かしく思います。
ビールをはじめ飲食店にとってのドリンクの在り方、勉強させていただきました。おかげさまで今があると思っております。改めてありがとうございました。
by 白メダカジュリー (2017-03-15 17:53) 

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