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第4章 問題発生! 美しいロールへの厳しい道。 [「焼豚ロール」開発物語]

焼豚1イメージ.jpg
「焼豚ロール」の2011年1月発売に向けて、我々は商品の味や形はもちろんのこと、
パッケージや販売価格の決定、パンフレットの作り替えなども同時に進めてきた。
時は12月の忘年会シーズン。仕込みの合間を縫って、パンフレットの原稿制作や撮影。
ようやく年内にすべてが揃い、1月早々、センセーショナルに販売をスタートするはずだった。
焼豚断面.jpg
「断面がロールでない」
キマコさんの何気ないこの一言で、事態は一転する。
工場から持ち帰った焼豚を端からカットしていたキマコさん、ロールという言葉の解釈に
はじめて疑問を持った。
端から1センチくらいの厚さで5、6枚カットする。
今までカットしたときのようなくるんとした模様が出てこなかった。
8枚目あたりからようやくくるんとした模様が出てきた。
くるんとした断面は、豚バラ肉をロール状に巻きこんだときに肉の赤身と脂身の白い部分が
きれいに層になることによりできる。豚バラの焼豚ならではの特徴だ。
しかしながら、これは自然の肉故、必ずしも赤と白の層が一定ではない。
その時の肉によっても違うし、同じ豚バラでも使う部分によって違う。
どこを切っても金太郎というわけにはいかないのだ。当然すべてがロールケーキのように
均一ではないわけだから、むしろくるんとした渦巻き模様ができることが偶然の産物なのだ。
カットしなくても、外観はロールと言えばロールだ。
断面もロールであることが求められるのか?
タニシ  「肉は自然のものやからのう。金太郎飴みたいなわけにはいかんやろ」
キマコ  「そうですね。但し書きをつけましょうか。作る側からするとあたりまえなんですけど、
       ロールケーキみたいな焼豚と思って買った人が、切ってみて
       そうでなかったら、自然のものとはいえがっかりしないかなあ」
「焼豚ロール」は「ロールケーキみたいな焼豚」がコンセプト。
端の方はしょうがないにしてもできるだけ断面の渦巻きをキープする肉のとり方ってできないものか。
再び職人たかちゃんと相談。
これが口で言うほど簡単なことではなかった。
赤身と白い脂身をそれぞれカットして合板みたいな作り方は職人として納得がいかない。
肉だって赤身と脂身のバランスがいい、いい肉だ。
職人としては肉本来の美しい層を生かしたい。
試行錯誤の上、やっとできたのがコレ。
ずんぐりむっくり君.jpg焼豚ロール切り株.jpg
重量はほとんど同じだが、形がずいぶん変わった。
太く短く。早速切ってみると、端っこから渦巻き状態が維持されている。
おお! すごい。断面がすべてくるんとした渦巻き模様だ。
ちょっと太めだが、最近のロールケーキは太めの巻きが多いからこの形もありか。

自然の肉の層を生かすために、職人は大胆なカッティングを試みた。
あまりにも贅沢すぎる肉のとり方。
このカットで「焼豚ロール」を作ると、なんと1頭の豚から6個しかとれないという。
lこんなに手間がかかってロスなやり方は普通誰もしない。
となると、おのずと現在想定している単価で売ることはできなくなる。
肉の質は下げたくない。
だけど。安くてそれなりにおいしい焼豚なら、たいてい近所の肉屋さんに行けばある。
「四角家」が作るなら、焼豚も唯一無二のものを作りたい。
「焼豚ロール」でなければいけない、そんな完全なるものを、僕らは作りたかった。

これでいくとなると、さらに問題が生じてくる。
パンフレット用の写真はすでに以前の形で撮っていた。
形がずいぶん変わっているので前の写真は使えない。すぐにカメラマンを手配して撮影する。
12月中のパンフレット制作に間に合うのか。発売予定が怪しくなってきた。

早速食べてみる。
タニシ  「どんなで、メダカ君?」
うまいです。こんなに太いのにさらに柔らかくなってる。
ほんとにうまい。食べ応えあります。
タニシ  「キマコ君は?」
キマコ  「・・・」
タニシ  「なんや?」
キマコ  「前のより柔らかいし、高級感もあって、断面も端から端まで渦巻いてて・・・。
      味も申し分ないんだけど・・・なんか・・・なんか思ったほどの感動がない・・・」
このキマコさんの心ない言葉にボスは激怒する。
タニシ  「あの寒い工場で、一人こっちのわがままに何度も作りなおして、たかちゃんが一生懸命
       いい仕事をしてくれてるのに、感動がないとはどういうことや!」
キマコ  「・・・」
ここへきて、プロジェクトチームに致命的な亀裂が入ってしまった。
僕は小さな池の中でただピチピチするしかなかった。

実際、何が心を突き動かさなかったのか、キマコさん自身にもこのときはわからなかった。
工場でたかちゃんが一つ一つ、どれだけ手間をかけて「焼豚ロール」を作っているか、
彼女も見たはずだ。なのになぜ・・・?
キマコ  「すいません。一晩だけ時間をください。何が自分の中でひっかかるのか、一晩考えて、
       明日社長(たかちゃん)に相談して必ず解決します」
これまで、ドン・タニシは1月早々の発売に向けて、必死でさまざまなスケジュールを調整してきた。
これで、パンフレットの年内アップは完全になくなった。
パンフレットどころか、「焼豚ロール」の発売すら雲行きが怪しくなってきた。

翌日、たかちゃんに電話をするキマコさん。
キマコ    「何度も何度も無理を言ってすいません。前よりさらに柔らかくて、渦も巻いてて、
         味は本当に申し分ないんです。でも何かもう一つインパクトに欠けるというか・・・
         最後にもうひとつだけわがまま言っていいですか?」
たかちゃん 「妥協はいかんで。妥協したら絶対いかん」
そう言って、たかちゃんはキマコさんの話を聞いて一つ一つ技術的な改善策を提案してくれた。
電話の後、その言葉に申し訳ないのとありがたい気持ちで、ボロボロ涙があふれるキマコさん。
仕事に対して、食材に対して、そして人に対してもいつも一生懸命、誠実に対応するたかちゃん。
それが作るものにも表れている。だからこそ、こちらも本気で対応しなければ。
人を感動させるものを作ることは、本当に難しい。

3日後、たかちゃんから新しい「焼豚ロール」が届いた。
箱から開けるなり、ドン・タニシから感嘆の言葉がこぼれた。
タニシ  「おー。きれーな形やのー」
焼豚ロール完成図.jpg

今回のは前回のより細長いが、最初のより短い。
その端正な形に、カットする前から気に入っていたドン・タニシ。再々度カメラマンを手配。
カットしてみる。外観もスタイリッシュだが、中の渦巻きもきれいだった。
どこを切っても金太郎のように模様が一定ではないけれど、最初から最後まで
どこを切ってもくるんと渦を巻いている。こんな焼豚は見たことない。

お取り寄せの商品というのは、味や品質はもちろんだけれど、
ある種のサプライズが求められる。
前回の太巻きのときも、どこを切っても渦巻きだった。
もうほとんどそれで十分だったのだけれど、そこは肉を1周以上くるんと巻くことの難しさ。
肉を炊くと赤身が縮んでロールの真ん中や巻く途中に隙間ができてしまう。
当然そこにタレが染み込むから茶色くなる。それはそれで切り株のような感じで
おいしそうなのだけど少しワイルドな印象。
見た目にはちょっとしたことだけれど、この美しいロールを作るために
職人は肉を平らに成形し、さらに力を込めてていねいにていねいにひもで巻いた。

「ロールケーキ」のようなハッとする美しさ。
キマコさんがあのときうまく言えなかったけど、ほんのちょっと足りない何か・・・はコレだった。

「焼豚ロール」が、完成した。


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